不妊症になって
| 正直、「不妊症」なんて自分とは無縁のことだと思っていた。 夢香の死後、後先の事を考えず、毎日毎日お酒に逃げる日々。 「もう赤ちゃんなんて産まない!赤ちゃんなんて出来なくて良い!」 やけっぱちになっていた。 月日が流れ、夢香の死が無意味なことでは無かったことを 少しずつ自分の中で受け入れる事が出来るようになり、 もう一度だけ頑張ってみようかなと、思っていたが 夢香の死後、自分の体をずいぶんと、いじめていたせいか、 ひどい生理不順になっていた。 でもあの時は、深く考えてなかったと思う。 もう一度・・そう考えれるようになった時に 念のため生理不順の診察を受けてみた。 すると、、、生理はあるのに排卵されていない 無排卵月経だということが分かった。 「今後、赤ちゃんのこと考えている?」 と、先生に聞かれ うなずいた。 「じゃあ、とりあえずホルモン治療から始めようか。」 と、ホルモン剤を服用することになった。 が・・個人差があるのかもしれないが、このホルモン剤の 副作用の吐き気にヒドク襲われるようになった。 生理中の診察。生理後の診察。イヤなものだ・・。 先生は慣れてるだろうけど、やっぱりこっちは恥ずかしい。 夢香の死から、周りの人に 「そろそろ作ったら?」 と、 言われることが多くなった。 反対に 「もう作らないの?」 と、聞いてくる人も多かった。 ある日、買い物に出かけた先で友達に会った。 赤ちゃんを抱いている友達。正直見たくなかったが 無視するわけにもいかず、適当に話を合わせていた。 すると、自分の子を突き出し 「こんな子見てたら欲しくなるでしょ?早く作りさい!」 と、言われひどく傷ついた。 悪気はないのかもしれない、でもあの言葉は本当に ママの心に刃のように突き刺さりヒドク傷ついた。 夢香の死を受け止めてはいたが、まだママにとっては 昨日のことのようだったのに、もう周りの人の中では 夢香のことは遠い過去なんだろうか?忘れられた過去 なんだろうか?そう思うと辛かった。苦しかった。 そして何気ない言葉がこんなにも人を傷付けることを 自分の身をもって知ることが出来た。 不妊症は人に言わなきゃ見た目で分かるはずも無く、 日常会話のように 「子供まだ?」と、飛び交っている気がする。 もしその言葉をかけた相手が不妊症の人だったら、、、 ママも今まで何度かこの言葉をかけたことがある。 もちろん悪気なんてなかった。 でも相手にしてみたら、大きなお世話だし もし不妊症の人だったら・・・。 そう思うと、この言葉は安易にはもう言えない・・。 不妊治療は精神的に非常にキツイ・・。 ママが不妊症になった時、何だか自分はもう女じゃ ない気がした・・。 女としての役目を果たせない苦しさや辛さは言葉では 言い表せない。 パパに赤ちゃんを抱かせてあげることが、出来ないかと 思うと、パパの顔をまともに見ることも出来なくなった。 |